『オブ・ザ・ベースボール』

オブ・ザ・ベースボール

オブ・ザ・ベースボール

 円城塔の小説で初めて、何が書いてあるのかが分かった〜(喜)。表題作は、一年に一度人が空から降ってくる街で、レスキューチームの一員として働く男の話。いちおう人を救うのならせめてグラブだろうと思うんだけど、なぜか支給されているのはバットで、それで落ちてくる人を打つってどうなの?と・・。う〜ん。意図するところはやっぱりよく分からないんだけど、読後感は初めて村上春樹の『風の歌を聴け』を読んだときに似ていた。生きている乾いた感覚、みたいな。でもまさか円城塔春樹チルドレンのわけはないので、たぶん錯覚だろうと思う。
 同時収録の『つぎの著者につづく』はさっぱり意味が分からなかった。ボルヘスカフカエーコをしっかり読んでいないとダメみたい。哲学者の名前もたくさん出てきたし、円城さんって理系なのに文学や哲学に精通してるんだな〜。まぁそうでなきゃ作家にならないだろうし。表題作が面白くて同時収録のもう一編がさっぱり分からないって、青木淳悟の『四十日と四十夜のメルヘン』の『クレーターのほとりで』を思い出した。全然関係ないんだけど。