『親指Pの修業時代』

親指Pの修業時代 上 (河出文庫)

親指Pの修業時代 上 (河出文庫)

親指Pの修業時代 下 (河出文庫)

親指Pの修業時代 下 (河出文庫)

 暑くて全然読書が捗らない〜(汗)
 『犬身』がすごくよかったので、松浦理英子積読本をどげんかせんといかん!(古・・)と思いまして、だいぶ前に買った『親指P』をとりあえず読んでみた。面白かった!暑くて集中力に欠けるときは、ストーリーが面白くてどんどん読み進めるようなのがいいな。この本はまさにうってつけ。
 ある日突然、右足の親指がペニスになってしまった一実。恋人の正夫とも別れるはめになり、正夫の隣人で盲目の音楽家、春志(しゅんじ)とひょんなことから付き合うようになる。性に奔放な春志に振り回されながらも、親指ペニスの感覚にも目覚めていく一実。そんな中、性に関するなんらかの異常を持ったひとたちのパフォーマンス集団「フラワーショー」に参加することになる。
 フラワーショーのメンバーがまた個性的で魅力溢れるひとばかりなのだが、中でも、体内に包含されたシャム双子の弟のペニスを使ってしかセックスをすることができない保にはいちばん興味を惹かれた。そのため愛する女性、映子にも素直に気持ちを伝えることができない。また映子と親指ペニスを通じて愛を感じるようになる一実との葛藤もふくめて、三者三様の心理描写がきめ細かくて面白かった。途中で失踪する春志を含めると、四角関係という複雑さ。
 親指ペニスは男性のように精液は分泌しないし、いちばんの快感を得るのが女性器に挿入することではなくて愛する人の手での刺激だったりすることが、単に女性のペニス願望というのとは違うな、親指ペニスはいったい何を表しているのだろう、とずっと疑問を感じていたのだが、解説で松浦さん本人が答えを書いていて、なるほど、と納得した。
 もっと他の著作も読んでみたい、けど当分これでお腹いっぱいになったからいいか(汗)