『エンジン・サマー』

エンジン・サマー (扶桑社ミステリー)

エンジン・サマー (扶桑社ミステリー)

 買ってすぐ読み始めたのだけど、読了まで結構かかりました。その間に「モンキービジネス」のサリンジャー号とナイン・ストーリーズ号をちょこちょこ拾い読みしたり、『鉄の時代』を読了したりして。
 『氷』もそうだったけど、歴史的名作といわれる幻想小説って、その世界観があまりに独創的すぎて、慣れるまでに相当な努力が必要とされるのだ(私だけか?)。疲れて嫌になって、もうやめちゃおうかと思ったりしたけど、最後まで読んでよかった!全ての謎がすっきり解けるってわけでもないのですが、ラストはあぁ、そうだったのかと、かなりのカタルシスが得られる仕組みになっている。雲の上に浮かぶ荘厳な都市と、反対に荒れ果てて誰もいなくなった地上・・。そんな、はかなくて無情ででも限りなく美しいイメージが浮かんできて、余韻にどっぷり浸っていたら、あの後ワンス・ア・デイはどうなったのか、気になってたまらなくなってきた。
 解説によるとクロウリーの未訳の長篇も近々刊行されるそうなので、そちらも楽しみだ。