『1Q84』

1Q84 BOOK 1  1Q84 BOOK 2
 せっかくの5年ぶりの村上春樹の新作、もっとゆっくりじっくり、咀嚼するように時間をかけて読みたかったのに、ついわしわしと貪り読んでしまい、あっという間に読了してた。あ〜あ、これでまた何年か、この感覚は味わえないのだなぁ。
 朝のTVで、すごい売れ行きで都内の大きな書店で品切れになっていると言っていて、(すでに70万部以上売れているらしい)そんなバカな、と思い、書店に行ってみたら、こんな地方の小都市の小規模な書店でさえ、一冊もおいてなかった。発売日には平台にあんなに山積みになっていたのに。この本を売るための出版社の戦略の一つとして、内容を事前に一切明らかにしないというのがあったそうだ。確かに、だいぶ前からアマゾンやbk1で予約の案内が出ていたのに、タイトルのほかはなにも知らされていなかった。それは、読者のアンケートで「村上春樹の小説は、最初の読者になりたい(つまり内容を何も知らないまっさらな状態で読みたい)」という要望があって、それに応えたとか。う〜ん、確かに知らされなければなおさら、知りたいと思うものだ。
 で、読んでみて、やはり事前に予備知識が何もない状態で読むのがベストだと実感した。少しでも知っていたら、この小説を読む楽しみは半減してしまうと思う。
 だから、ここにも何も内容に触れたことは書かないようにする。
 これを読んで、私の中で変化したことを書いてみたい。
1.摂生した生活を送りたい。体を鍛えたいと思った。
2.『アンダーグラウンド』や『約束された場所で』など、未読の、作者にとってはきっとかなり重要な作品を読まなくては、と思った。あと、オーウェルの『1984』(未読なので・・早川から新装版が出るらしいから、出版社の思惑通りになるのもしゃくだけど、買って読もう)。
3.これがいちばん重要なんだけど、なにか自分の生きる上での核になるようなものが欲しいと思った。この本である登場人物がある登場人物に抱く感情がすごくて、通常そんなことは絶対ないとは思うんだけど、どうしようもなく心を揺さぶられてしまった。恋とか愛とかじゃなくても、信念でも宗教でも憎しみでもなんでも、これがあるから生きていける、みたいな(書くと通俗的なイメージだけど)ものがあったらな、と心底思った。